座敷としてのよしあしは、 天井・壁・床 の三要素と、開口部の
障子・襖 、 そこから覗く自然の佇まい
、そして床の間や柱などの材質との調和のとれた総合的な造作に左右されることが多いようです。
とりわけ床面いっぱいに広がる 畳 のよしあしは、座敷そのものの落ち着き、美しさ、広がり、奥ゆかしさといった美感覚を左右させます。
それは、和室空間に広がりを作り出している畳が、座敷そのものを引き立たせる機能を持っているからです。 たとえば、すっかり古くなった感じの座敷も襖と障子を張り替え、畳を新しいものに取り替えるだけで、そこはもう新しい座敷空間に生まれ変わってしまいます。
座敷は、そういったリフォームの容易さ、エンジョイライフの容易さを持っています。新しい畳には、和室の持つリラックス感にちょっぴり緊張感も生まれます。その新鮮な雰囲気がエンジョイライフを求めていくうえで、そこから生まれてくる弾んだ気持ちに、日々変化に富んだ生活パターンを作り出してくれる効果があるものです。
畳は、手入れの仕方によって寿命が違ってきます。
手入れの方法は、「裏返し」「表替え」「新畳」と三通りあります。
普通、2〜3年で 裏返し 、4〜5年で
表替え (畳表を張り替える)を一つの目安とします。
また、湿気や害虫を嫌うので、半年に一度は日に干すのが良いでしょう。畳の裏側を4〜5時間日光にあて、裏から竹などで叩いてほこりを取ります。畳表は、直射日光にあてると変色を早め、傷むので陰干しにします。しかし、最近では住宅事情などから、ほとんどの家では畳み干しはしていないのが現状だと思います。
大事に使えば、畳床は40〜50年はもちますが、傷んでしまったら床から新しく作りましょう。(新畳)
また、 表替え の場合は、部屋の用途にあわせて畳表を選びたいものです。
たとえば、客間には目の積んだ厚みのある上物を選ぶのも一つの方法です。痛みにくいうえに日焼けしてもきれいに焼け、その緊張感が風格を与えます。
畳のお手入れは、いたって簡単、3〜4年ごとに「新鮮空間」を演出して、住まいに潤いをもたせたいものです。
☆普段のお掃除☆
☆しみや汚れの処理☆
日本の畳は、夏の高温多湿を想定して作られているので、風通しが良い木造の家とワラとイ草から成る畳の組み合わせは、快適な住み心地でありました。
昔の家の造りは、床も高く建具や襖は、木と紙で作られ、天井・壁・床すべてが通気性をもった素材でできていました。一年を通じ乾燥と吸湿を繰り返す我が国特有の気候に合わせた先人の知恵があったのです。
昔の夏は涼を求めるために、いろいろ工夫して暮らしていました。
スダレやヨシズで日光をさえぎり、風鈴やスズ虫を飼ったり、庭に打ち水をしたり、かき氷を食べたりして過ごしました。
今ではエアコンのスイッチ一つで涼しさを得られる時代となり、夏の風物というのがなくなってしまい、家の中を見ただけでは季節がわからなくなってきています。
最近では部屋の洋風化にともない、畳の部屋が少なくなってきています。
その原因の一つにダニの問題が関係していると思われます。
昭和40年代に関西や東京の公社や公団の団地で大量のダニが発生し、新聞等をにぎわしたこともあるでしょう。この頃から、輸入畳床が安価なため公団やアパートやハウスメーカーの畳に使われました。輸入畳床は風土の違いからダニがでやすかったのです。
ダニの問題から、業界では建材床(化学床)が開発され、ダニのでないポリスチレンや、インシュレーションボードや、これらの組み合わせによるサンドイッチタイプ等いろいろ使われるようになってきました。
ワラ床も防虫対策として、防虫シートを入れるようになり、最近の畳ではダニはあまり出なくなりました。
しかし、最近の家は、建築様式が昔と違い、窓もサッシで機密性が高く、夏の日中など留守がちの家は、室内が温室状態になり湿気と温度が上がり、カビやダニが発生しやすくなっています。
また、毎日窓を開けて掃除をする家が少なくなっているのもカビやダニが発生しやすい原因の一つであります。
その対策として、夏の暑い日に外出するときは、家の中の各部屋の入り口を全部開けておくと良いでしょう。そうすることで、日当たりの良い高温の部屋の空気が、日当たりの悪い低温の部屋の空気と対流して全体の温度が下がります。
さらにどこか高いところの窓を、少し開けておくと大分違います。
ダニは、畳だけでなく、ホコリ・じゅうたん・布団・換気口等にでやすいです。
お部屋はまめに掃除をしたり、空気を入れ換えたりして清潔にしてください。