畳表は良質の栽培イ草で織られていますが、そのイ草は厳寒の真冬に植えつけたものを真夏の炎天下に刈り取り、泥染乾燥したうえで、長さ・太さ・色調など一定の基準で選び抜かれたものだけが使われています。
このイ草には、丸イと七島イの二種類があり、座敷向きの畳表には色調の美しい丸イ、商家の店先や農家の居間などには耐久力の良さが特徴の七島イを素材にした畳表と、それぞれの味わいをつくりだしています。
湿地に自生するイ草科野多年生植物。現在は栽培種を畳表にして利用している。昔は芯の部分を灯心に用いたので「灯心草」ともいわれた。七島イと区別して「丸イ」と呼ぶ。
イ草の一種。断面が丸く、一般に使われている畳表はこれで織られている。細く硬く、肌が青く艶があるものほど良質。畳表には、染土で泥染めしてから乾燥し、選別されたものを用いている。
生産県は広島県・熊本県・岡山県・福岡県・高知県・佐賀県・石川県
断面が三角状になっているため、三角イともいう。カナツリ草科に属する多年生の湿性植物。元来は琉球で栽培されていたが、江戸初期に薩南を経て大分県に伝来した。
七島イは泥染めをせずに乾燥して織られる。
イ草は、湿地に自生する多年性植物である。
8月に苗床から良い面だけを一株一株丁寧に株分けして、12月の寒いときに本田に植えつけられる。
翌年5月中頃、イ草の先端を45センチ位に刈り取り、根元に日光が透るようにして新芽の発生を促すと共に倒れないようにネットをはり、イ草が伸びるに従い段々とネットを上にあげていきます。
これ以外にも良質のイ草を作るために、病気を防ぐなど苦労の多い仕事です。6月中旬から7月初めにかけ良く育ったイ草を花が咲かないうちに一気に刈り取る。
刈り取ったイ草は、畳表に独特の色と香りを持たせる為、天然染土による泥染めを行い、乾燥させます。
泥染めに使用する染土は「明石染土」が伝統的ですが淡路島の断層から産出する「淡路染土」も有名。亜酸化鉄の作用の青味が加わる。
一枚の畳表を織るのに、およそ四千本から五千本のイ草が使われますが、そのイ草は収穫後すぐに畳表に織り上げるのではなく、質、丈長、色調などイ草を等級別・用途別に選別してから織機で織り上げられます。
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